2009年5月15日金曜日

100年に一度の大不況と政治

最初から重たいテーマです。

〔経済対策最優先といいながら・・・〕
麻生政権が発足してから7ヶ月近くたつが、景気回復の兆しは一向に見られない。 
2009年1月は、百貨店経営の(株)丸井今井(北海道)、粘着紙・フィルム加工品製造のタック化成(株)(愛媛県)、液晶カラーフィルター製造のアンデ ス電気(株)(青森県)、半導体洗浄装置製造のエス・イー・エス(株)(東京都)など、製造業を中心に地場業界大手の倒産が全国各地で続いた影響で、倒産 企業の従業員数が1万6559人に急増した。これは、リーマン・ブラザーズ証券(株)関連の4社が倒産した2008年9月の1万4307人を上回り、集計 基準変更後で最多を記録、懸念された国内製造業の不振や消費不況の影響拡大が現実のものとなった。(帝國データバンク・全国企業倒産集計より一部抜粋)
 地方各地では地場大手のゼネコン・不動産業者を中心に倒産が相次ぎ、今後は不景気による販売不振によって小売業の倒産が増えてくると思われる。 麻生政権の掲げた経済対策とは裏腹に現在の不況は「負の連鎖」に突入してしまった。
 新たなる政府の「緊急経済対策」の成立が待たれるのであるが、麻生政権の「それ」は果たして効果があるのだろうか?
 
 〔今回の不況の原因とは・・・〕

バブル崩壊後から始まったこの構造的不況はアメリカの好景気を受け一時的に景気が回復したかに見えた。 が、これはマーケットの社会の話で、実態経済は全然回復したと言い難い。 「景気が回復したが、暮らしは楽にならない。」というジレンマが人々から聞こえてきたのはこの実態経済と株価市場経済ギャップがもたらしたものであろう。 
 以前は実態経済が回復すれば株価が上がるものと考えられてきた。 この論理は正しい。 
では、株価が上がれば実態経済は回復するのであろうか?  小泉・竹中政権は「不良債権処理」という名目で銀行に多額の税金を投入、株価を操作した。 確かに銀行は回復した。
 バブル景気は「地価は永遠に上昇し続ける」という神話 をもとに不動産業者・銀行・建設会社が中心となって発生したものである。  このうち銀行だけに救いの手を差し伸べ、不動産業者、建設会社その他を見殺しにした。 不動産・建設会社は大幅なリストラを行い建設会社の下で働く多くの職人(零細企業)の日当は大幅(半減以下)に削減され、現在もこの金額は変わらない

 今回の不況の影響は先に述べた建設業はもとより様々な業界に亘っている。

自動車メーカー ⇒ 中国市場進出の為、国内製造拠点の整理
家電メーカー  ⇒ 中国市場に向けての新たなる生産拠点移行(インド・ベトナム)
              (既にアジア地区に製造拠点を移転済み)
基幹産業である自動車・電機メーカーの「日本」からの撤退がこの不況の原因です。
 これらのメーカーは企業城下町として社会を形成している為、この社会の人々は一瞬にして不況のどん底に叩き込まれる。 メーカーの下請け・孫請け企業はもとより、流通・サービス・金融にいたる産業のうだろほとんど全てがである。 かつてドルショックで大打撃を受けた造船城下町の様にゴーストタウンと化してしまう。  当時は、自動車、電気メーカーに救われたが、今回は何も無い。


 〔 消費の刺激=減税、給付金、エコポイント 〕


 政治家・評論家・ジャーナリストが経済対策として減税・減税と騒ぎ立てる。 この不況を乗り切るには大幅な減税が必要だ、 と。
 だが果たして本当に効果があるのか? 一人12000円の給付金、エコポイント、高額耐久消費財(自動車、エコ住宅)。これらの減税を行なってどれだけの雇用創出が出来るのか?どれだけの仕事が増えるのか? 
 この不況で苦しんでいる多くの人々は何を望んでいる? 
ハローワーク」で仕事を探している人々に「減税しますから、エコカーを買ってください」、「エコポイントつけますから 地デジ対応テレビを買ってください」、「何のメリットのない高いだけのソーラーシステムを買ってください」と言えるのだろうか?
  仕事が無いんです!!
定額給付金や一回きりの育児手当をもらっても1ヶ月分の生活費にも満たないのです。この現実を誰も指摘しないし、見ようともしない。 全てをマクロ経済でとらえ「ミクロ経済」を見ようとしない。だから何をしていいのか解らないのであろう。 

 日本を見捨てようようとしているメーカーに対しての減税措置は必要ない。 なぜなら彼らが不況を作り出したのだから。 もう一度言おう。 アメリカに始まったサブプライム問題が今日本に起こっている大不況の本当の理由ではない。 このサブプライム問題を利用して国内の製造拠点を中国・インドに移設しようとして出来た構造不況なのだ。

 〔公共投資は意味が無いのか?〕

 小泉・竹中政権は銀行に多額の税金を投入した。 その一方でマスコミを巧みに利用し「公共投資は無意味」だとし悪者扱いされてきた。 新自由主義は破綻した
 内需拡大の決め手は雇用創出をめざした公共投資にほかならない。 そこには、本当に必要な設備(大幅に不足している老人ホーム)の拡充や大幅な雇用の拡大につながる公共投資が必要である。 アメリカマネをする必要はない。実用化の乏しい電気自動車高いだけで採算のとれない「ソーラーシステム」の普及に税金を投入する必要はない。(エコ自動車、ソーラーシステムについては後日掲載の予定です。)
公共投資は減税政策よりも効果が高い。 とくに雇用創出にいたっては絶大であろう。 が、反面 官・民の癒着や財政の圧迫などの問題点も多い。 要はどう使うかである。 
 ケインズ経済学では、「ハーヴェイロードの賢人」が政策を行なう事が大前提となる。

民主党がこの「ハーヴェイロードの賢人」である事を祈ってやまない。

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